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【コラム】「適量の飲酒」と健康との関係性に新見解 「酒は百薬の長」ではない?!(前編)

「酒は百薬の長」という有名な言葉がある。酒好きにとっては、飲む理由として大変便利な言葉で、医師といえども正面切っては反論できない。しかし、この言葉を揺るがす研究結果が出てきた。

適量の飲酒は死亡率を下げる?

前述の言葉を裏打ちするのが「Jカーブ効果」だ。横軸に1日平均飲酒量、縦軸に死亡率(飲酒習慣がない場合を1とした場合の相対危険率)をとってグラフを描いたものである。

 

このグラフを見てわかるように、少量の飲酒をする人は、全く飲まない人に比べて死亡率が低くなるという結果になっている。死亡率が最も低くなるのは、男性では1日アルコール量で20g以下の群。これは、ビールで言えば1日500mlの缶1本以下に相当する(女性の場合は、おおむね男性の半分の量)。飲酒量が増えると死亡率は上昇し、1日60g以上の飲酒する男性は、全く飲まない人に比べて1.4倍にもなる。

これは主に欧米人を対象にした研究の結果だが、日本人を対象とした研究でも、おおむね同様の結果が出ており、少量の飲酒によって死亡の危険率が下がり、さらに量が増えると逆に危険率が上がる効果のことが、「Jカーブ効果」と呼ばれるようになった。しかし、この効果については、従来から問題が指摘されてきた。