【コラム】日本語は”乱れ”ているのか? 言葉を大切に使うには(後編)

前編(2016/11/03)では、「ら抜き」を例に、日本語が「変化」している過程にあるといえると説明した。しかし、「新しい言葉」はどの程度受け入れるべきなのか? 後編では、誤用や新語の例をもとに考えてみたい。

敬語には注意

また、「ら抜き」に関しては、伝達内容などで誤解が生じることはほぼ無い。しかし、これが敬語となると話は違ってくる。たとえば、本来ならば尊敬語で「ご~ください」と言うところを「ご~してください」と言うことがしばしば聞かれるが、「ご~する」は本来謙譲語とされる形であるため、誤解やトラブルにつながりかねないのだ。前編で触れた国語に関する世論調査の結果で敬語に対する意識が表れていたように、敬語に関しては新しい形を安易に受け入れることは問題があるといえるだろう。

世代間ギャップが問題

もう1つの問題は、言語の変化によって高齢層と若年層の意思疎通が困難になることである。たとえば同世論調査によると、「運動選手」と「アスリート」のどちらを主に使うかという質問で、70歳以上では「運動選手」が69.6%、「アスリート」が17.1%なのに対し、16~19歳ではそれぞれ11.9%と69.0%と、逆転しているのである。
「アスリート」を誤用であるとは言い難いが、世代間の疎通が難しくなる可能性はある。

また、ベネッセコーポレーション(岡山市北区)が9月に結果を発表した「第1回 現代人の語彙に関する調査」によると、「ディスる(=けなす)」、「イミフ(=意味不明)」の2つの語を知っている40~60代の社会人はそれぞれ44.3%、37.7%、高校生はそれぞれ88.5%、81.7%、差はそれぞれ44.1%、44.0%となった。この結果から推測できるのは、いわゆる「新語」を知っている若年層と高齢層の差は大きいということだ。

言語の世代間ギャップは今に始まった話ではない。しかしながら、若年層と高齢層の関係が薄まっていると言われる中、言語の壁によって、さらに文化の継承が難しくなることは、大きな問題である。

これからの「日本語」をどうする?

これらのことを踏まえて筆者が考えるには、世代間の疎通があまりにも難しくなるような新語や、いわゆる日本語の「美しさ」に反する新語を多用するのは控えるということもありえるだろう。しかし、一方でただ上から「正しい」と言われたことをそのまま維持するのではなく、より良い日本語とは何だろうかと考えながら、日本語の価値を日々見直していくことが私たちには必要なのではないだろうか。

参考記事
対話・読書・幸福度で語彙力が高まる ベネッセが調査(2016/09/21)

(写真はイメージ)

 
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平井 明

1989年生まれ。東京大学教養学部卒業、東大大学院人文社会系研究科修士課程修了。2015年、NEWSALT創業時に入社。豊富な海外経験、世界の政治・文化・歴史に関する見識と、語学力を活かし、主に日本人には縁が遠いような世界の動向について、「読んで希望を持てる記事」をモットーに執筆を続ける。

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