【コラム】G7情報通信相が共同宣言 ネット利用促進とセキュリティ強化へ

4月30日、香川県高松市で開かれた先進7カ国(G7)情報通信大臣会合で、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)など新たな情報通信技術(ICT)の普及による経済成長を国際協力して推進する「G7情報通信大臣共同宣言」が採択された。世界のインターネット人口を増やすために整備を進めるとともに、プライバシーとデータの保護、サイバーセキュリティへの取り組みを強化することなどが盛り込まれた。
今回、採択された共同宣言について、その全体像を詳しく見てみよう。

 

共同宣言の内容は大きく4点

まず一つ目は「ICTへのアクセスの向上」だ。2020年までに世界のインターネット利用者を現在より15億人生み出すことを目指し、ICTインフラ、製品およびサービスのグローバル拡大を促進する。そのために官民連携を促進し、民間からの投資促進および環境整備、国立研究教育ネットワークの整備や利活用促進を明言した。

二つ目の「情報の自由な流通の促進と保護」は、プライバシーとデータ保護、そしてサイバーセキュリティの2つが大きなポイントだ。4月に越境データ規制で話題となった「欧州連合(EU)データ保護規則」などの明言は避けたが、プライバシーとデータの保護を効果的に促進する旨が盛り込まれた。グローバル企業はデータの取り扱いはさらに慎重にならざるを得ない。そしてこの指針がサイバーセキュリティと並列で記載されていることが、事の重要性と危機感を、個人個人が認識する必要があるだろう。サイバーセキュリティについては、すでに各国とも危機管理意識が高まっており、オバマ米大統領も政府予算の増額を進めている。G7では、サイバーセキュリティの脅威分析の研究やリスクマネジメントの取り組みについて支援を強化するという。またこの領域の人材育成の意識向上を促していくと明言されている。

三つめの「イノベーションの促進」では、技術標準化やオープンデータ政策、人材育成、知的財産の保護などを挙げた。特に目新しいのは、IoT、ビッグデータ分析、5Gモバイル通信、AI、ロボット技術の研究開発奨励という注力分野を明言したことだ。この領域はグーグルやフェイスブックなどグローバル民間企業が研究を推進しており、各国政府も積極的に連携する意思を持っていることを示した。

四つ目では、「ICTの活用による地球規模課題および機会への取り組み」と称したテーマを示した。具体的には、貧困と飢餓、保健医療、オンライン上での児童保護、高齢化社会、教育、男女の平等と女性・女児の活躍、アクセシビリティ、エネルギーと気候変動、レジリエンスと防災、持続可能な交通と輸送等について各国積極的に情報交換を行っていく方針。そのために各国のステークホルダーと協働していくという。

 

今こそ深く研究し、認識を揃える時

インターネット利用人口を増やすため、官民連携を促進してICT市場への投資と環境整備を進めることが明言された。日本でも政府の産学連携強化の動きが活発になっており、今後はグローバルでも協調していく流れになるだろう。実際、他言語翻訳技術や各言語の音響・映像コンテンツ生成技術に対する開発支援を強化するという指針も出されている。

経済成長に向けてICTに集まる期待は大きく、産学官で研究開発や技術改善が取り組まれており、次第にデファクトスタンダード(事実上の標準)を奪い合う流れになることが予想される。今、技術研究に関する連携とリスク管理や技術の認識を共通化しておくことは非常に意味がある。その中で日本が米欧にどのように入っていくかに注目したい。

 
(写真はイメージ)

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新城 元

東京工業大学大学院卒。ITジャーナリスト。インターネット関連企業に務めるかたわら、NEWSALTを立ち上げる。

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