【解説】自動運転車の事故で国交省が注意喚起

国土交通省、自動運転戦略本部を設置へ

国土交通省と警察庁は14日、昨年11月に千葉県で自動運転機能使用中に起こった交通事故について、「現在実用化されている自動運転機能の限界や注意点を正しく理解し、過信せず責任をもって安全運転する必要がある」と注意喚起した。

自動運転機能過信で起こった事故

当該の事故は、千葉県八千代市で日産セレナの自動運転機能「プロトパイロット」システムを使って試乗していた際に起こった。運転者が前方に停止している車両を認識していたにも関わらず、自動車販売店店員の誤った認識に基づく指示によりブレーキをかけずに走り続けた結果、走行環境の影響から衝突被害軽減ブレーキが作動せずに追突。前方の停止車両に乗っていた2人が負傷した。

自動運転にはレベルがある

日産セレナに搭載されたプロトパイロットは「自動運転レベル2」に相当し、車線維持支援、車間距離制御支援、衝突被害軽減ブレーキなどを行う機能を指す。高速道路で同一車線を走る際に渋滞走行および巡行走行でドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御するというものだ。

しかしプロトパイロットを使用していても、一般道で前に先行車がなくて走っていた場合には、車間距離制御支援はまったく意味をなさない。また衝突被害軽減ブレーキは、自動車事故対策機構(NASVA)による性能評価では時速10~60kmの走行時に32点中24.5点という評価がされているが、これもいつでも完全に止まれるというものではない。悪天候などの条件下ではさらに効きが悪くなる。

特性をはっきり理解し安全運転を

国交省と警察庁は、「現在実用化されている『自動運転』機能は、運転者が責任を持って安全運転を行うことを前提とした『運転支援技術』であり、運転者に代わって車が自律的に安全運転を行う完全な自動運転ではない」とし、「運転者は、その機能の限界や注意点を正しく理解して機能を過信せずに責任を持って安全運転を行う必要がある」と注意を呼び掛けた。

自動運転機能は夢のような技術だ。しかし人間の作ったものであるからには限界も弱点もある。無知によってせっかくの技術を生かせず無駄にすることがないように、特性をはっきりわかって享受するようにしたいものである。

(写真はイメージ)

参考記事
自動運転の定義、政府が見直し 「完全自動化」のレベル5新設(2017/01/04)
自動運転搭載の日産セレナが日経優秀製品・サービス賞最優秀賞を受賞(2017/02/07)

 
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宮永 龍樹

栃木県出身。ソフトウェア技術者。情報機器・教育機器の開発に長年従事するが、自動車エレクトロニクスの分野に転身。最先端の自動運転技術にも関わる。趣味はダンス、そして娘の寝顔を見ること。

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