人間の寿命の限界は既に決まっている

医学の進歩は、人間の寿命をどこまで延ばすことができるのだろうか。この問いに対する答えは既に出ているとする研究論文が、10月5日Natureにオンライン掲載された。米アルベルト・アインシュタイン医学校の研究チームが発表した。

19世紀以来、公衆衛生、食習慣、環境や様々な分野の発展のおかげで、平均余命は伸び続けてきた。例えば今日、米国で生まれる新生児は、大体79歳まで生きることが予測できるが、1900年当時に生まれた米国の新生児の予測は47歳だったという。それであれば、今後の医学の発展によりもっと長生きができるようになることを期待したくなるところだ。しかし、論文の上席著者ヤン・ファイフ博士は次のように述べている。「これまで続いてきた寿命の最高記録の更新がすぐに終わると考える理由は無い、と人口統計学者や生物学者は強く主張している。しかし、それは既に1990年代に終わっていた。」

ヤン博士らが、40カ国以上の死亡数と人口データを蓄積している「国際死亡データベース」のデータを解析した結果、1900年以降で、100歳以上の人々が何歳まで生きたのかという点に着目してみると、生まれた年に関わらず100歳あたりが最も多く、それより高齢になると急激に減少していたという。

次にヤン博士らは、「長寿化データベース」を使って“報告されている死亡年齢の最高値”に関するデータを検討した。長生きした人の数が最も多い4カ国(米国、フランス、日本、英国)のデータを参照し、この中で1968年から2006年の間に、110歳か、それより高齢まで生きたと確認されている人々に注目した。その結果、110歳以上の人の死亡時の年齢が1970年代から1990年代初頭の間に急激に上がっていたが、1995年頃に頭打ちになっていたことが分かった。この頭打ちがあったのは1997年で、この年は歴史上記録されている中で最高齢を達成したフランスの女性ジャンヌ・カルマンさんが122歳で亡くなった年だ。

この研究では人間の平均の最長寿命を115歳と見積もっている。そして、ある年に世界のどこかで125歳まで生きる人一人を見る確率は、1万分の1未満であるとしている。

ヤン博士は、「伝染性あるいは慢性の病気に対するさらなる医学の進歩により、平均余命は延び続けるであろう。しかし、それは寿命の最高値の更新ではない。治療法のブレイクスルーにより、我々が計算した限界を超えて人間の寿命が延びるかもしれないと考えることはできるが、一方で、そのような医学的進歩は、人間の寿命をトータルで決めると思われている多くの遺伝的変異を克服する必要がある。寿命を延ばすために現在費やされているリソースを、健康に生きることができる晩年の期間を長くすることに振り向けるべきである」と述べている。

翻って我々は、今後の医学の発展は専門家に任せつつ、自分の寿命が尽きる日まで健康を維持し、価値ある人生をつくっていくことに日々取り組むべきであろう。

(写真はイメージ)

 
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三田 よしみ

大学院機械工学系専攻修了後、アメリカ系外資企業を渡り歩き、現在も外資勤め。最近は運動不足解消に取り組んでいる。

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