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世界のエネルギー消費量は減少している  米国エネルギー情報局

さまざまなテクノロジーが発達する現代。それを動かすために必要なエネルギーを、果たして世界は効率的に使っているのだろうか。

この疑問に対する一つの回答として、今年7月12日、米国エネルギー情報局(EIA)は、GDP 1ドルを生産するために消費するエネルギー量である「エネルギー・インテンシティ(Energy Intensity)」が世界的に、1990年から2015年の間におよそ3分の1減少していると発表した。

国・地域間で異なるエネルギー消費傾向

EIAによると「エネルギー・インテンシティの減少は、より経済の発展しているOECD加盟国と、それ以外のOECD非加盟国の両方、つまり世界のほぼ全地域で起きている」が、経済構造、気候および地形のようなさまざまな要素が影響しており、国や地域間で差があるという。たとえば、製造業主体の経済はサービス業主体の経済より、GDP 1ドルを生み出すためにより多くのエネルギーを使う傾向にある。また、温度変化が大きい国や地域では、暖房や冷房により多くのエネルギーを使う傾向がある。都市間およびその中のインフラ間の距離が、物資や人を運ぶために使われるエネルギーに影響を及ぼしているという。

経済活動の形態で変わるエネルギー利用

またEIAは、「歴史的に、OECD非加盟国のエネルギー・インテンシティレベルはOECD加盟国より高い」と指摘。多くのOECD非加盟国では、経済は工業化を中心に成り立っており、エネルギーの利用形態はより「エネルギー集約型」となっているという。それに対し、多くのOECD加盟国ではエネルギー集約型の製造業への依存からエネルギー・インテンシティの低いサービス業を主体にした経済活動に移行してきたため、2015年の推計では、OECD加盟国のGDP 1ドルあたりのエネルギー消費量は、OECD非加盟国と比べて平均で12%低かった。

消費エネあたりの経済生産、伸び率は中国が最大

EIAは、エネルギー・インテンシティと逆に、消費エネルギーあたりの経済生産金額を示す「エネルギー生産性(Energy productivity)」という指標でも説明している。エネルギー生産性は、1990年から2015年の間に中国が133%と最も大きい上昇を示しており、「経済生産金額の大きな伸びが、エネルギー消費の上昇の2倍以上となったからだ」と説明。同じ期間に米国は、あらゆる領域における改善の結果、エネルギー生産性は58%増にとどまっているという。

なお、EIAの報告における日本のデータに注目してみると、「国および地域別のエネルギー生産性」のグラフ中の日本の値は、20%増となっている。伸び率としては上記の中国や米国に及ばないが、1990年時点での日本のエネルギー生産性の値は、既に2015年における中国および米国を上回っていることがわかる。